技術情報・技術コラム

AI組み込みシステムを活用したソリューションのご提案

AI技術は、私たちの生活の様々な場面で活用されるようになりました。しかし、その多くはスマートフォンや家電製品といったマスマーケット向けの製品に組み込まれるなど、ソフト面での使用に限られています。ただ特定の課題を解決するためのニッチな分野での活用はまだ十分ではあるとは言えない状況です。

そこで今回は、これまで山勝電子工業が産業機器業界で培ってきた知見を活かした、ニッチなニーズに応えるAIを活用した組み込みシステムのソリューションをご提案したいと思います。

最近、山間部だけでなく、人里でもクマの目撃情報や被害が急増しています。これまで、クマ対策としては鈴や超音波、撃退スプレーなど様々な方法が試されてきましたが、効果が限定的であったり、危険が伴ったりといった課題がありました。

この深刻な社会問題に対し、私たちは画像処理AIを活用したテクノロジーを、この分野の解決策として提供できないかと考えました。

クマが民家近くに現れたら、それを画像で検知し、住民に知らせる。そういったシンプルな機器を開発しようにも、これまでの技術だと膨大なデータを読み込ませたシステムが必要でした。さらにセンサやカメラなどは汎用品を採用することでコストダウンを図れますが、基板を一から起こすとなると高い開発費が必要となり実現のハードルが上がってしまいます。

そこで私たちが提案するのが、Raspberry Pi(ラズパイ)とAIを組み合わせたソリューションです。高性能なラズパイを核とし、そこにAI画像認識技術を搭載することで、クマの接近を自動で検知するシステムを構築できます。

このようなシステムは、以下のシンプルな構成で実現できます。

  1. Raspberry Pi 5と外付けAIモジュール: 高い処理能力を持つRaspberry Pi 5に、クマの画像を正確に認識できるAIモジュールを接続します。
  2. AI画像認識: カメラが捉えた映像をAIがリアルタイムで解析し、クマのシルエットや動きを検知します。
  3. 警告機能: クマを検知すると、「ピピピ」という警告音を鳴らし、さらに光で威嚇する機能を搭載します。単にクマを追い払うのではなく、人間とクマの間の安全な距離を確保し、クマの行動をモニタリングすることを目的としています。
  4. 既存技術の応用: 鈴のように常に鳴り続けるのではなく、クマが接近した時だけ警告を発するため、クマが音に慣れてしまうリスクを低減できます。
  5. クマの検知情報を、スマートフォンやタブレットなどの複数の端末にリアルタイムで通知することができます。

このようなAIを活用した組み込みシステム・応用製品は、企画から開発、製造、実装まで様々な専門知識が必要です。当社は、お客様の課題を深く理解し、最適な画像処理AIの選定から、Raspberry Piを用いたハードウェアの構築、システムのカスタマイズ、機器の製造まで、一貫して対応可能です。さらに当社はハードを開発せずともソフトウェアでシステムを構築することでシステム開発費用の低減を行えますので、様々なご提案が可能です。

こうした機器の実現を通じて、私たちはAI技術が社会課題を解決し、より安全で豊かな社会を築くことができると信じています。

この企画にご興味を持たれたら、ぜひ山勝電子工業までお気軽にご相談ください。

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