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産業界におけるラズベリーパイ(Raspberry Pi)の活用ポイント

ラズベリーパイ

組み込みハードウェア

皆様は、ラズベリーパイ(Raspberry Pi)のことを詳しくご存知ですか?元々は、教育用コンピューター用としては開発されたラズベリーパイですが、現在ではシステムの試作や開発にも重宝されています。当記事では、そんなラズベリーパイについて詳しく解説しますので、是非最後までご確認ください。

ラズベリーパイ(Raspberry Pi)とは?

ラズベリーパイとは、イギリスのラズベリーパイ財団によって開発された最低限のCPUや入出力インターフェース、コネクタを搭載する小型のコンピュータです。実は、このラズベリーパイは、元々教育用コンピューターとして開発されました。しかしながら、IoT機器の普及に伴い、ラズベリーパイが注目されるようになり、現在ではIoT機器・システムなどの試作・開発に重宝されています。

ラズベリーパイ(Raspberry Pi)活用のメリット

では、どんなメリットがあってこのラズベリーパイが教育用のみならず、幅広い業界で重宝されるようになったのでしょうか。下記にて詳しくご説明します。

開発コストを削減できる

上述の通り、ラズベリーパイは元々教育用として開発されたため、価格が安いことが特長として挙げられます。具体的に、安価な種類であると1台あたり数千円程度で購入することも可能であり、従来の産業用PCと比較し破格の価格なのです。そのため、幅広いラズベリーパイを活用することで、開発コストの削減に直結します。

開発期間を短縮できる

例えば、専用CPUボードで試作・開発を進める場合、

・回路設計やマイコン・メモリ等を進める
・基板・ボードの仕様を決める
・I/O・ドライバなど詳細仕様を決める

などの、まずボードの設計・製造が必要になります。しかしながら、ラズベリーパイを活用することで、これらの作業を全て飛ばすことが可能であり、ラズベリーパイを入手したその瞬間から試作を進めることが可能です。これにより、開発期間を大幅に短縮することができるため、産業界において使わない手はないわけですね。

技術ノウハウがオープンに公開されている

例えば、自社製品にコントローラを採用したりする場合には、プログラムを作るための情報収集やソフトウェアの開発工数が大きなコストとなります。一方で、ラズベリーパイは、活用するための技術情報が、インターネットをはじめ、オープンに公開されているので、簡単に技術ノウハウを得ることが可能です。つまり、「特定のセンサを利用したい…」「周辺装置と通信を行いたい…」「クラウドサーバーとつなげたい…」などの技術ノウハウを容易に入手することができるため、ソフトウェア開発をスムーズに進めることが可能です。

ラズベリーパイ(Raspberry Pi)活用のデメリット

では、反対にラズベリーパイを活用した際のデメリットとしてはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説します。

電源周りの動作不良が発生し得る

ラズベリーパイを動かすためには、安定した電圧で電源を供給することが非常に重要となります。電圧降下が発生すると、そもそも動作しなくなるケースもあります。そのため、ケーブルロスなども考慮した上で、電圧を高めに供給する必要があります。

I/F周りがやや不安定である

ラズベリーパイのI/F周り(コネクタ関係など)は、品質に個体差があります。そのため、試作時のみならず、本格的に使用しようと思うと、振動対策等をしないと問題が起きる可能性が非常に高いです。ちなみに、あるIoT機器開発の例では、ラズベリーパイを搭載したIoT機器を鉄道関係に使用していたところ、「SDカードのデータが全て飛んでしまった…」なんてこともあったようです。

そもそもの性能は高くない

当然のことながら、専用のCPUボードと比較すると、ラズベリーパイの性能はどうしても劣るケースが多いです。また、搭載されているマイコンの処理能力は低いケースが多いといえます。そのため、実現できる仕様には限界があるため、「WI-FIを用いて高速通信でデータ転送したいが、うまくできない…」なんてことは大いに発生する可能性があります。

ラズベリーパイを用いて製品化するケースもある

上記でご紹介したメリット・デメリットをしっかりと考慮した上で、ラズベリーパイを使用すれば、確実に開発において役立つといえます。ちなみに、近年では、産業用のラズベリーパイも登場してきており、弱みである電源周りや、I/Fの周りを強化したものもあります。値段は、通常のものよりも高く、約10万円前後するケースが多いですが、活用することも検討してみてはいかがでしょうか。

実際に、このような産業用のラズベリーパイを搭載して、製品化するケースも多くあります。ただし、その場合には高度な設計ノウハウが必要となります。例えば、マイコンボードを別に搭載し、信頼性が低いラズベリーパイを監視させるなどの工夫が必要となるためです。

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